子どもの歯並びを「育てる」ために
お口周りの筋肉は歯並びにも大きく影響しており、筋圧のバランスの崩れから歯並びが悪くなっているケースもあります。
当院では、このようなお子さまが将来矯正装置を使わずに済むように、お口周りの筋肉から歯並びにアプローチする「口腔筋機能療法(MFT)」を行っています。
歯並びを「治す」だけでなく、症例によっては適切な歯並びに「育てる」ことも可能ですので、ぜひ保護者の方に知っていただきたいと考えています。
子どもの歯並びが崩れる
原因と治療法
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遺伝によるもの→通常の矯正
受け口や出っ歯、顎や歯の大きさは遺伝しやすいものです。このような受け継いだ骨格から歯並びが悪くなってしまった場合は、矯正装置による歯列矯正をおすすめしています。
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癖や習慣によるもの→口腔筋機能療法
口呼吸、指しゃぶり、舌の癖、頬杖など、ご本人の習慣や癖から歯並びが悪くなっているケースが多々あります。このように後天的な原因の場合は、お口周りの筋力をアップすることで、歯を正常な位置に誘導できる可能性があります。
口腔筋機能療法でおこなうこと
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MFT
舌やお口周りの筋肉のクセを改善し、顎や歯並びが適切に発育するよう導きます。食べ物を噛んだり、話したり、普段の舌を置く位置などを訓練します。このトレーニングを続けることで、将来、矯正装置による矯正治療を行った際にも歯列が後戻りしにくいなどのメリットがあります。 -
機能的矯正装置(プレオルソ)
口腔筋機能療法だけでは歯並びの改善が難しかった場合には、矯正装置を使用します。
プレオルソは、お子さま専用の矯正用マウスピースです。お口のまわりの筋肉を鍛えながら、歯並びやかみ合わせを整えていきます。家にいる時と寝ている時に装着するだけなので、お子さまの負担も少ない矯正治療です。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。 -
あいうべ体操
いつもお口がぽかんと開いてしまうのは、お口の周りの筋肉が緩んでいるせいかもしれません。口呼吸の子に多いこのような状態は、歯並びに悪影響を与えるだけでなく、風邪をひきやすい、むし歯や口臭のリスクが高まるなど、さまざまなトラブルの原因になることがあります。
あいうべ体操とは、舌を適切な位置に収めるための筋肉を鍛えて、鼻呼吸に導くお口の体操です。
大人の口腔筋機能療法
お口周り、弱っていませんか?
シニア世代の方や要介護の高齢者の中には、「口腔周囲筋の虚弱(オーラルフレイル)」という状態に陥っている方が多くいらっしゃいます。歯を失ったことでかみ合わせが悪くなり、食べられる物が限られ、栄養不足から筋力が衰えていくのです。お口周りの筋力が低下すれば「食べる・かみ砕く・飲み込む・消化する」という生命維持に重要な機能が果たせなくなり、要介護の状態が悪化する悪循環になってしまいます。
「筋機能療法」は歯並びの治療だけでなく、舌を上手に使った「適切な嚥下運動」を促すので、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
このような方はぜひ
- 食べているときによくむせる
- しっかり噛めていない
- 飲み込みにくい
- 無意識のときに口呼吸している